09/28/05

　７、８、９号陵は、西夏陵の最北、四区の北側に並ぶ皇帝陵です。残念ながら、各陵の現状を確認し写真に納めることができませんでした。ここでは、各陵の基本的な情報を以下の各資料に基づき、簡単に紹介します。　
　西夏陵（寧夏文物考古研究所・許成・杜玉氷編著／東方出版社／1995年）　
　西夏王陵（西夏研究叢書／韓小忙著／甘粛文化出版社／1995年）
　

７号陵とは？

　７号陵は、５号陵の北3kmほどの所にある陵で、９基の皇帝陵の中で唯一墓主が確認されている陵です。1972年に行われた発掘で東西の碑亭の跡から西夏文、漢文が書かれた石碑の断片1775点が出土しています。この中に西夏文で
　白上（または高）国大　護城聖徳　至懿皇帝　寿陵志文
と書かれたものが発見されました。これは、墓碑のタイトルそのもので、白上国大、即ち大白上国とは西夏の国名のひとつであり、聖徳とは第５代仁宗皇帝の諡号、寿陵とは仁宗の陵の名前だったのです。（ちなみに、このホームページのトップページにあるタイトルロゴの白い西夏文字は、この「白上国大」からきています。ただし碑文自体は篆書体です。）
　資料によると、７号陵は陵城内東側に建物が建てられ、既に全体像がわからない程に破壊が進んでいるとのことです。ただ、陵台や鵲台など現存しているようで、掲載の写真を見る限り、陵台は５号陵よりは状態がよく、６号陵程度には形を残しているように見えます。
　Google Mapを見ても、陵台や鵲台などほぼ同様の状況が読み取れるように思います。
　⇒ Google Map（サテライト）
　
　７号陵の基本的なサイズは以下のとおりです。
　外城　全体像は不明、西面の壁南部分145m、南面の壁西半分135mが残る
　陵城　西面の囲壁全部と南面の囲壁半分以上、北面の囲壁一部が確認されているが、そこから全体を推測すると南北184m、東西約170mとなる
　月城　南北50m、東西120m、大きさは不明だが門も残っているようです
　角台　西面の外城壁に近接した南西のみ現存、高さ4m
　鵲台　東西とも残る、高さ9m、門　南門と西門が残る、高さ3m、角闕　北西のみ現存、高さ3m
　献殿　不明
　碑亭　東西各1か所、高さ2mほど
　陵台　底面一辺12mの八角形、高さ11m、表面は上下に7つの段がある
　

８号陵とは？

　８号陵は７号陵の北西500mほどの所にあるとされています。残念ながら詳細な報告は記載されていません。唯一陵台の写真が掲載されています。草木に覆われながら錐形を残し、上には給水塔を乗せています。高さは10m前後は残っているようにも見えます。
　Google Mapを見ると、８号陵には多少の変化があるようです。給水塔を載せた草茫々小山ではなく、綺麗に整備されたという印象があります。
　⇒ Google Map（サテライト）
　

９号陵とは？

　９号陵は７号陵の北350mほどの所にあるとされています。詳細な報告は記載されていません。陵台の写真が掲載されていますが、崩壊がひどく、原形はほとんど留めていないようです。高さは10mはないように見えます。
　Google Mapを見ると、他の陵に比べて９号陵はよくわかりません。中央にわずかに写っている小山が陵台のようにも見えますが、不明です。
　⇒ Google Map（サテライト）
　

　なお、９号陵と思われるところから少し東へ行くと、西夏陵に附属する陵邑・宗廟の跡といわれる遺跡があり、Google Mapでみると、なんとなく四角い形をしたものがが残っているのがわかります。